キリムの工程

キリムで一番多く使われている羊の毛を代表して挙げてみましょう。まず、毛刈りをします。その後、羊の毛を洗浄しなければなりません。現在は洗い場などで洗っていますが、昔は川で羊の毛を洗っていました。
毛に付着している脂や、汚れ、ほこりなどを落とします。


洗浄した羊の毛の繊維をほぐすために梳きます。
梳いた後は、繊維を引き延ばして糸にするために紡ぎます。
その後、染色しますが、糸の一本一本ムラなく染色するため、「かせ」という状態にします。
(「かせ」とは、ぐるぐると大きい束になった状態です)かせの状態から、織りやすい毛糸玉にします。


基本は草木染めで、自然界に存在するもの(草花や木)を利用するため、同じ色を出すのはほぼ不可能と言われています。
また、同じ材料でも、染色する量、回数によっても色味が変わってきます。


キリムの織り機は「垂直織り機」という織り機によって織られています。
ぴんと張られた縦糸が、地面に対して、垂直になっているので「垂直織り機」と呼ばれています。
日本で一番使いやすい1畳半サイズで一番簡単な織りのキリムでも、織りあげるのに4カ月ほどかかります。


時間をかけて織られたキリムは、その間にゴミやほこりが蓄積します。
それらを除去するために、専用の道具で手洗いします。
洗剤を大量の水で洗い流した後は、すすぎ専用の機械で水を一気に洗いとばします。
その後脱水機にかけ、干場で陰干しします。
最後にキリム専用のアイロン機で、凹凸をなくしたり、形を整えるためにプレスします。


年数が50年以上のオールドや、100年以上のアンティークと呼ばれるキリムになると、修理が必要になるキリムが多くなります。
キリムは、使う→修理する→使う→修理する、と、くりかえし長く使う日用品なので、修理は欠かせません。
織り子はほとんどが女性であるのに対し、キリムの修理屋はほとんどが男性です。